【宇宙の心と人間の心】
【宇宙の心と人間の心】
人間の心の本質は何でしょうか?
これについて、
『哲人哲語』
(著者 中村天風 編集者 安武貞雄 公益財団法人天風会)
の中に、こう書いてあります。
「誰でも人間である以上は、
心というものを、
めいめい持っているということは、
知っているが、
この人間の心の、
本当の、
本質というものを知って活きている人は、
極めて少いのではないかと思われる。
率直に云うと、
人間の心の本質というものは、
真・善・美という尊いもので、
それは宇宙の心と同様なものなのである。
これは、
何も特別に深く考えるまでもなく、
直(す)ぐ目の前にある事柄で判(わか)る事なのである。
嘗(かつ)て京都におられた愛石家として有名であった高島子爵が、
こういうことを言った事がある。
石塊のような命も魂もないように見えるものでも、
真・善・美の方面から見ていると、
いつしか何とも云えない、
いとおしい気持を感じてくるものだ、
とこう言われたが、
これはたしかに本当の事だと断言する。
というのは、
これと同じ道理を植物に対してもすぐ感じられる。
例えば、
草花でもたとえそれがデパートで通りがかりに買って来た様なものでも、
双葉の時から自分が面倒を看(み)て、
手入れをして作り上げたものと同様な愛情で見ていると、
他人から見てさ程のものでなくとも、
自分にはそれが非常に愛らしく感じられる。
(中略)
兎(と)に角(かく)、
こうした事を考えると、
愛の情と云うものが一切のものを全く一つに融(と)け合わして、
そして何も彼も美しい一体化というものに、
作り上げるという高貴なものであるという事が、
直感される事と思う。
私は常に講習会で、
我々天風会員は、
どんなことがあっても、
人を憎んじゃいけない、
恨んじゃいけない、
そして誠と愛とを本位として活きなければいけないと説いているのも、
愛と誠の情の尊い反響が、
人間同士の間においては、
一しお重大である。
考えて見ればスグ判る。
親子の間にしても、
夫婦の間にしても、
又兄弟姉妹の間にしても、
乃至(ないし)は友人知己の間にしても、
お互いに愛し合えば愛し合う程親しくなれて、
その心の融け合う度合というものが際限なくなる。
この際限のない融け合うというものは、
心でのみ味わえるもので、
肉体では到底味えない。
例えば、
肉体の手と手を握り合って見ても、
握り合っている以上に、
幾ら密接させようとしても、
そう云う訳には行かない。
ところがだ。
心と心は、
全くそうでなく、
愛し合えば愛し合う程、
どんなものでも密接に二つが一つに融け合える点に、
愛の心というものの尊さがあるのである。
だから、
何事何物に対しても、
いつでも愛の心で対応していさえすれば、
天地間の万物と期せずして融和が出来る。
その結局はといえば、
求めずとても万物一体の境地にはいれる。
これは言い換えると、
人間の心と宇宙の心と、
一つになれるということになるのである。
これを、
もっと判り易くいえば、
宇宙の心と一つに人間の心がなれれば、
ここに初めて宇宙の本体も本質も分明して来て、
当然の帰結としてこの宇宙の心が真善美以外の何ものでもなく、
そして同時に人間の心の本質(本念の姿)も又真善美以外の何ものでもないことが判って来る。
ところがこうした忽(ゆるがせ)にする事の出来ない絶対真理が、
この宇宙の中に厳として存在しているのを、
一向そうした事を考えることなしに、
ヤタラと憎しみやネタミの心を起して、
何と自ら自分と云うものを、
狭くそして弱くして、
この世に活きてる人が、
どれ程数において多いかと云う事を、
考えてみねばならない。
そして、
しなくてもいい、
病や煩悶や貧乏を招き寄せて、
貴重な人生を自分の無自覚から、
憐れな不幸福なものにしているということは、
全く愚の骨頂だといわねばならない。
かるが故に、
とにかく理屈は抜きにして、
これから毎朝眼が醒(さ)めたら、
昨夜死なずにこうして活きていたという現実を心から感謝し、
同時に何事をも真・善・美の心で考え、
且つ応接することを実行することに心がけるべしである。
否、
そうした心がけが宇宙の心に、
自分の方から融け込んで行く秘訣なのであるからである。
さすれば、
求めずとも宇宙本源と一体化という尊い境涯で活きられるという至上至高の人と必然なれる。
さればこの高貴な理念で活きることを、
平素の自己のモットーとすべしと敢(あ)えていう。」(223頁〜228頁)
人間の心の本質も、
宇宙の心の本質も、
真と善と美です。
換言すれば、
誠と愛と調和です。
誠心誠意・誠実・慈愛・博愛・平和の心が本質です。
私たちは元々、
宇宙意識のアバター(分身・化身)です。
宇宙意識のみが宇宙の唯一の実在です。
宇宙本源との一体化という高貴な理念で活きることをモットーとしましょう❗️
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(著者 中村天風 編集者 安武貞雄 公益財団法人天風会)
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